二.数値計算結果
数値計算は基本的に線形計算法を用いシリーズ船型に対して不規則波中の上下加速度及び横揺れの有義振幅で船体動揺を評価することとした。また、計算法の相違による船体動揺の差を明確にするため、船底傾斜角シリーズにおいて規則波中の非線形計算[1][2]を実施し周波数応答を線形計算法で得られた結果と比較した。
数値計算に用いたシリーズ船型の詳細な船型データー覧表を表3.1.2)-3に示し、以下に数値計算結果を示す。
(1)上下加速度のシリーズ計算結果と評価
原型船型とシリーズ船型の不規則波中上下加速度計算結果を図3.1.2)-15〜図3,1.2)-23に示す。図3.1.2)-15〜図3.1.2)-23にはシリーズ船型ごとにそれぞれ船首部、船体中央部、船尾部上下加速度を示している。
(a)L/Bシリーズ
図3.1.2)-15〜図3.1.2)-17にL/Bシリーズの数値計算結果を示す。
L/Bの選定は船型要素の中でも最も船体動揺に寄与する部分と考えられる。L/Bを大きく取りすぎると相対的に船体が細長くなるため平水中の推進性能面からは有利に思われるが、船首部の減衰力や復原力が小さくなるため縦揺れが大きく、また、これとは逆にL/Bを小さくしていくと縦揺れの代わりに上下揺れが顕著になってくる。
今回の数値計算においてもこのような傾向はシミュレートてきており、図3.1.2)-15〜図3.1.2)-17に示すように原型船型からL/Bを大きくしたCASE2では船体中央部の上下加速度は原型船型とほぼ同じ応答を示すのに対し、船首尾部での上下加速度は縦揺れ成分の増加により原型船型よりも大きい応答となっている。
一方、原型船型からL/Bを小さくしたCASE3では上下揺れ成分の増加により船体中央部においても上下加速度は原型船型より大きく、船首尾部の上下加速度も原型船型よりは悪化している。
従って、単胴型高速艇の設計においては、推進性能面からのL/Bの選定も重要であるが、乗り心地を向上させるために上下加速度が最小となるL/Bを如何に選定するかが最も重要なポイントとなっている。
(b)lcbシリーズ
図3.1.2)-18〜図3.1.2)-20にlcbシリーズの数値計算結果を示す。
図3.1.2)-18〜図3.1.2)-20において原型船型と原型船型からlcbを前方に移動したCASE5を比較すると、船首部の上下加速度がほぼ同じ応答となるのに対して、船体中央部ではCASE5の方が原型船型に比して小さい応答を、船尾部では逆に原型船型よりも大きい応
前ページ 目次へ 次ページ
|
|